つぶやき その三十                 令和7年2月17日

2025/02/17

つぶやき その三十                 令和7年2月17日 

 

“自然災害”に備え、微力でも立ち向かう

 

つぶやき その二十八にて地球温暖化をミニ氷河期の到来が相殺してくれるのではないか?という浅はかな期待を込めた投稿をしたが、温暖化の進行は坂道をブレーキの故障したダンプカーで下るかの如く、人類の地道な努力ではとても押し戻すことの出来ない限界の崖っぷちまで来てしまったようである。気象庁の2024年(令和6年)世界の主な異常気象・気象災害(速報)からの抜粋から申し上げる。

(高温)わが日本に於いて観測史上で月平均気温や、年間平均気温の最高記録を更新(1898年以降最高)したのは記憶に新しいところであるが、同じ東アジアの中国(1961年以降来最高)、や韓国(1973年以降最高)でも同様のことになっており、東南アジアのインドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポールでも軒並み記録的な高温を記録する年となった。更に、ユーラシア大陸の西側はどうかというと、こちらでもギリシャ、トルコ、セルビア、ルーマニア、サウジラビア(6月の熱波により1,000人以上が死亡)、バーレーンなどでも観測史上最高の記録を更新している。北米西部からメキシコにかけてと、南米全体(特に、コロンビア、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン)も暑かった。一方で記録的な寒波はどうかというと3月のアフガニスタンで1,190人の死亡が確認され、5月のアルゼンチンでは1961年からの観測史上最も低い気温が観測されている。

(多雨、大雨)フランス(9月の降水量が前年比318%)、スペイン東部(10月の大雨で220人以上が死亡)、オーストラリア(9月の降水量は1858年以降で最大)、東アフリカ~西アフリカ北部(3~9月の大雨で2,900人以上が死亡)、その他、ルワンダ、チャド、マリ等の国々でも記録的な雨を降らせている。

(台風、ハリケーン)中国南部~東南アジアにかけて7月、9月、10月の3つの台風の合計で1,240人以上が死亡。米国南東部でも9月のハリケーン「HELENE」の影響で220人以上が死亡。

(森林火災)南米のチリで2月に大規模な森林火災が発生し380人以上が死亡したと伝えられた。また、年が変わってのことなので、来年の今頃に発表されるであろう2025年度の異常気象のデータとしてカリフォルニアの森林火災(現時点で4万ヘクタールが焼失、25万人以上が避難)が加わってくることは想像に難くない。寒波については上述のアフガニスタンとアルゼンチンの事例のみであるが、2025年については昨今の世界各地で猛威を振るっている大規模寒波のニュースを見るにつけ、日本を始めとした多くの国々で寒波災害についても名乗りを上げてくるのではないかという懸念がある。

(少雨)昨年記録的な少雨を記録したのは、なんと、終わりの見えない戦争を繰り広げているウクライナとロシアであった。戦闘も運動会や屋外スポーツのように雨が降れば休息を取れるのかどうかは定かではないが、なんとも皮肉な話である。

 

「異常気象」の定義は“30年に1回以下の稀な頻度で発生する現象”だという。とすると2024年にこれだけの記録更新が行われてしまったことで、今年以降

同レベルの事象が発生してもそれはもはや異常とは呼べなくなるのであろうか?

また、わが国では地震(それに伴う津波)や噴火のリスクも増大中である。自然災害に対する備えは避難訓練や被災時の備蓄等を含めて、自治体、民間、学校などでもカリキュラム化されるのが当たり前となってきている。

 

さて、不幸にして自然災害に遭遇し、事業の継続が困難な局面に陥ってしまった場合、そこから立ち直る取り組みとして近年「BCP」を導入しその精度を深化させ続けている企業が増加している。わが飼料畜産業界でも「配合飼料供給安定協議会」を中心として全国の業界関係者が定期的に集まり継続的な勉強会を実施しているところであるが、来週末に東京、御茶ノ水で全国会議(年に2回の開催)が予定されている。これだけの自然災害の発生状況を目の当たりにし、“明日は我が身”の緊張感が高まっているこの時期だけに熱のこもった議論が展開されることは想像に難くない。

 

カリフォルニアの火災現場で焼け落ちた我が家の前で呆然と立ち尽くす人々の画像が映し出され、日本海側の豪雪地帯では重みで家が潰されないように雪掻きをしなければならない人達の映像が毎日のように流れている。BCPにしても本来の企業活動にとっては余分な仕事である。当たり前の事だが災害が発生しなければ、これらの余計な苦労は不要になるのである。つまるところ私たちは無力と諦めずに、災害をミニマイズするための努力は継続しなければならない!温室効果ガス削減の為の取り組みについても“褌を締め直す”必要があると改めて覚悟する今日この頃である。

 

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