つぶやき その二十八                令和6年5月14日 

地球温暖化 VS 小(ミニ)氷河期

 

つぶやき その十九 (漫画の勧め)で筆者の所謂「漫画中毒」をご披露させていただいたのであるが、その後もその勢いは留まることを知らず、令和4年9月30日時点で1,000冊越えを豪語しており、現在その時点から1年半が経過したことを鑑みるに(カウントしているわけでは無いが)倍の2,000冊は優に突破していることは想像に難くないわけで、そうなると〝はずれ“をチョイスする可能性が高まることから、作品選びにも負荷がかかってきたりするわけです。

特にトレンディー系の若者が登場する作品は読解不能の確立が高く、お勧めされても聞かなかったことにする今日この頃、頼みの綱は脳みその酷使を伴わずにリラックスして向き合え、セレクションの豊富な時代物に依存するという安易な流れに身を任せております。そんな昨今で先週末に読み終えた作品が宮下英樹作

「センゴク権兵衛」というタイトルそのまんまの戦国時代の武将の生き様を描いた長編作品(3シリーズ合計で50巻越え?)で仙石権兵衛氏は猪突猛進型の

先陣武将でありながら、〝なぜか生き残る“という特技を十分に発揮した結果、「桶狭間」から「関ケ原」の長きに渡ってこの時代を生き延び、様々な合戦を紹介してくれるわけであります。そこに出てくる登場人物(武将、公家、僧侶、商人、宣教師、茶人、姫君、側室、等々)の多彩さも特徴的で、人名をフルネームで覚えることなどは認知症予備群の筆者に於いては難行過ぎて右から左に受け流さざるをえないのですが、ずば抜けた記憶力と好奇心で世の大人達も舌を巻いてしまう〝博士くん”達にとってはバイブルになっても不思議ではないお勧めのシリーズと言えましょう。さて、この作品は日本国の歴史において唯一〝下剋上“がもてはやされた所謂〝戦国時代”にフォーカスを当てておりますが、これほど激しく頻繁に領土の分捕り合戦が繰り返された背景として、作者は14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた小氷河時代(ミニ氷河期)の異常気象による農作物の不作(飢饉)の影響との説を強く主張しているのであります。確かに当時は並行して“百姓一揆”が横行しており、各地の領民は深刻な食糧不足に苦しんでおり、領主の領土拡大に大きな期待をかけていたようなのである。自然が相手であるだけに生産される作物の絶対量は“神のみぞ知る”世界である筈なのだが、これを領土の取り合いで捻じ曲げていたわけである。取ったり取られたりを繰り返す不毛な下剋上もやがて豊臣秀吉や徳川家康の天下統一によりフェードアウトしていくのですが、泰平の江戸時代に入ってからも○○の大飢饉という言葉が何度も出てくるように小氷河期の影響は少なからず読いていたのである。さて、現代は世界中が専ら温暖化とどう向き合うか、カーボーンニュートラルをどうやって成し遂げるかに議論を集中させているわけですが、次の小氷河期が2030年ごろからスタートする可能性があるということを英国の研究者が発表している事実をご存じだろうか?この説の世間での認知度が低いことからも今回の(2030年からの)小氷河期入りは眉唾の可能性が高いにしても、事実そう遠くない過去に500年以上の長きに渡って寒冷な時期があったことを考えると気球温暖化と次期ミニ氷河期による気象の相殺現象も頭の片隅に置いておく必要ありかな?と思う今日この頃である。

 

PS:小学生のころ記念切手のコレクターであった筆者が夢中になって集めた安藤広重の東海道53次中の大好きな図柄に“蒲原”がある。江戸時代の静岡県の蒲原は雪深い宿場町だったのである!